和「そうなんだ。それじゃ私、皆殺しにするね」
和「そうなんだ。それじゃ私、皆殺しにするね」
0007以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2010/11/28(日) 13:55:54.33ID:nSt6T/KVP
中野梓が風船の割れたような音に見上げると、生温かく、鉄の匂いを帯びたぬめぬめとしたものが頬に付着した。
桜餅のように柔らかな弾力のある頬についたそれを、二つの指でそっと拭いとると、目についたのはどす黒い赤である。
何故、苺のジャムがこんな所に? 浮かべた疑問を絶叫がかき消した。発したのは秋山澪だった。
ライブの時でも聞かない音量の叫びだったので、思わず耳を塞ぎそうになった。
田井中律に肩を支えられている澪は、音楽準備室の入口を指さしている。ジャムが飛来してきた場所である。
改めて見直すと、真鍋和という、学園の生徒会長である女がやれやれと肩を竦めていた。
和「唯が悪いのよ。私は生徒会に戻るって言ってるのに、邪魔をするから」
和は目の前にある物体に話しかけていた。人の形によく似ているが、決して人ではない。
人であるとは認めてはならない。だって首から上が無いんだから。
梓の脳には、つい先刻までの記憶が、徐々に戻り始めていた。
まずノックの音がして、和が入室してきた。手にはファイルケースを携えている。
未提出の書類があったのを、律に提出するよう言いに来たらしい。
忘れてた、とおどけて誤魔化そうとした律の頭に、澪の拳が落された。見慣れた光景であった。
そして「じゃあまた後で来るから、その時にまでに用意しておいてね」と言って帰ろうとした和を、平沢唯が引きとめた。
「折角きたんだから、お茶をしていきなさいな」と言った。和は断った。生徒会室にやることが残されていた。