さっき立てた即興小説できたからみせるわ お題「深海」「行き遅れの恋」「主人公はイカ」
さっき立てた即興小説できたからみせるわ お題「深海」「行き遅れの恋」「主人公はイカ」
4: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/02/06(土) 20:50:21.416 ID:FSaFeYdS0.net
A男はこの世界で海を見たことがある数少ない人間の一人だった。
地球の海はとうの昔に枯れ果て、最寄りの海があるのは本の中か200光年離れたZ星のみだ。
そこには全身灰色で足と思われるものが10本生えた、地球でいう烏賊のような生物が平和に暮らしていた。
Z星の海は、その巨大な星にしては小さく浅いものであったが、地球人の数倍の知能をもつZ星人ですらその全体像が掴めずにいた。
そんなZ星に、A男はたどり着いたのだ。
事故で宇宙船の機能が停止し、15人の船員は緊急用の未だ技術が確立していないコールドスリープに賭けた。
生き残ったのはA男ただ一人だった。
A男は明るく乾燥した部屋で目が覚めた。
覚め切らない頭をゆっくりと持ち上げると、ガラス越しに烏賊の丸く大きな瞳と目が合う。
その烏賊はゆっくりと声を作りながら言った。
「あなたは地球からきましたね?私たちに敵と思うのは違うことです。
協力しましょう」
A男は黙って烏賊の言葉を胃に収めた。
寝起きの回らない頭では、キンキンした声と不自然な文法を処理するのには時間がかかった。