メイド(♀)「坊ちゃま、勝手に歩き回らないでください。手錠が引っ張られて痛いです。」
メイド(♀)「坊ちゃま、勝手に歩き回らないでください。手錠が引っ張られて痛いです。」
メイド「坊ちゃまがなにかをするときは、必ず私が共にいなければならないということを重々念頭に置いてください。」
メイド「……いいえ、外しません。外したら、坊ちゃまはどこかへ行ってしまいます。私の手の届かないどこかへ。」
メイド「私の目を欺けるほど坊ちゃまが成長なさったこと自体は私としても嬉しいことです。しかし、それは決してよいことではありません。」
メイド「坊ちゃまは、私がいなくてはいけませんから。きっとなにか悪いことに巻き込まれたりしてしまうのです。だから、坊ちゃまは私がしっかり監視をしておかなくてはならないのです。」
メイド「煩わしく思う気持ちも理解できます。しかし、これは坊ちゃまのためなのです。坊ちゃまの身になにかあれば、私は死んでも死にきれません。」
メイド「坊ちゃまは、私のすべてなのです。坊ちゃまがいなくなったら、私はただの抜け殻になってしまいます。……私は、そうなりたくありません。」
メイド「もし、どうしても私から離れたいというのであれば。……そのときは、私の手首を無理やりにでも引き千切ってください。私の制止や悲鳴も聞かず、淡々と。」
メイド「そうすれば、もはや私に坊ちゃまを止める術は残されておりません。この手錠は、私と坊ちゃまを繋ぎ止める唯一の絆なのです。それが邪魔だと言うのなら……」
メイド「……坊ちゃまは本当にお優しい方ですね。こんな例え話だけで、そんな顔をしてくださる。……昔から、優しい人…。」
メイド「……というわけで。今後はくれぐれもご自身の行動と私に注意を払ってください。私といたしましても、手を失いたくはありませんから。」
メイド「で、坊ちゃまはどちらへ向かうおつもりだったのですか?……はあ、お手洗いですか。」
メイド「それは申し訳ございませんでした。では、行きましょう。……もちろんついていきます。当然でしょう?」