【DDLC】Sayonara.
【DDLC】Sayonara.
3: ◆516.8uHAfU 2018/05/01(火) 00:03:34.98 ID:LzerSNmTo
昨晩から、サヨリのことが気にかかっていた。抱きしめられたときの腕の感触と震えた声が、別れてからもときどき彼のなかで反響した。
翌朝の午前七時、彼はいつもどおり目を覚ました。夜中はうまく寝付けなかったせいか、起きるときにじくじくと背骨が痛んだ。
朝食を食べながら、陽射しが降りそそぐ窓の外をながめた。雲ひとつない青空が輝いている。
自然と、昨日のサヨリの言葉を思い出した。
『この瞬間が一番幸せだとずっと思っていたのに。なのにどうして……それでも雨雲は消えてくれないの?』
彼女の言った雨雲という言葉が、頭の隅でよぎっては引っかかるを繰り返した。それから彼は空にかかる雨雲を想像した。
黒い靄で太陽の光を遮り、薄暗い影と雨しか残さない。雨雲の下にいる人間の髪は雨で冷たく濡れる。