ブラックジャック「ここはどこだ?お前さんは一体・・・?」 俺「ひっひ、いらっしゃい。ここは『みち』さ」
ブラックジャック「ここはどこだ?お前さんは一体・・・?」 俺「ひっひ、いらっしゃい。ここは『みち』さ」
俺「そう。そして、アンタはその手術に失敗したのさ。この先に別れ道があるだろう?左の道がアンタが失敗した『みち』さ」
俺「右へ進めば手術が成功する『みち』に行ける。ブラックジャックが手術を失敗するなんて存在価値そのものが崩れてしまうだろう?」
ブラックジャック「つまりやり直せると?お前さんは何だって私にそんなことをしてくれるんだい?」
俺「運命って言葉があるね?人には誰でも運命というものがある。だが、それは独立したものではなく無数の運命が複雑に絡み合っておる」
俺「その中でもアンタの運命は非常に多くの人に影響を与えているのさ。アンタにはこれから先も名医として多くの人の運命を支えてもらう必要があるのだよ」
俺「俺はそのお手伝いがしたいだけさ。さあ、右の『みち』へ進んでやり直しなよ」
ブラックジャック「もう一度聞く。左の『みち』は手術が失敗した本来の『みち』なんだね?」
俺「ひっひ、そうさ。アンタにしては実に珍しいこった」
ブラックジャック「そうか。では私が選ぶのはこっちの『みち』だ」
俺「!? そ、そっちは左の『みち』だぞ!自分のしていることが分かっているのか!?」
ブラックジャック「お前さんは私のことを買い被っているようだね。私が今の技術を手に入れたのは数えきれないほどの失敗を繰り返してきたからなのだよ」
ブラックジャック「それをもし私が右の『みち』へ進んだとしたら、私はこの先どんなに難しい手術をしたとしても成功しない気がするのだ」
俺「ぐっ・・・!ぐぐぐ・・・!そ、それがアンタの答えってわけだね・・・!そうかいそうかい・・・ひっひ。後悔するなよ?」
院長「先生!先生!」
ブラックジャック「む!・・・ここは院長室か。手術はどうなったのですか?」
院長「はい。先生のおかげで手術は無事成功しました」
ブラックジャック「成功ですって!?手術は失敗したのではないのですか?」
院長「ええ、先生にしては珍しく手元が狂ったようでした。ですが、すぐにフォローをして成功させたのですよ。あまりに極限まで神経を集中させていたようですから手術が終わってすぐにぶっ倒れてしまいましたがね」
ブラックジャック「そうだったのですか・・・。ん?その壁にかかっている絵は?」
院長「ああ、これですか?以前入院していた画家に頂いた絵画です。確かタイトルは『死神の導くみち』とか」
ブラックジャック「絵に何か外国の文字が書かれていますね。何と書いてあるのですか?」
院長「すみません。これだけは解読できなくて・・・。ただ、画家の話では左の道を進んだ者には決して幸福にはなれぬ呪いがかけられるという話でした」
ブラックジャック「フ、フフフ。アーッハッハ・・・あの死神め!それで脅しているつもりか!」
院長「先生、どうかされましたか?」
ブラックジャック「いえ、なんでもありませんよ。ただね、死神を失業させるのが医者の仕事だと思いましたもので」