拓海「アタシの苦手な人」
拓海「アタシの苦手な人」
1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/03/20(水) 00:23:05.251 ID:Z8Ukr3ADa.net
アタシはプロデューサーが苦手だった。
強引で、スケベで、どこかオタク臭くて、
何を考えてるのかちっとも分からねぇプロデューサーが、アタシは苦手だった。
だがプロデューサーはアタシをヤンキーという狭い世界から
アイドルという新しい世界に引っ張り出してくれた人でもある。
こんな不良上がりのアタシをそこそこ人気のアイドルにまでしてくれたのだから、仕事の腕も確かだ。
その点でアタシはプロデューサーを尊敬していた。
しかし、いかにもアタシに似合わなさそうな衣装や仕事を敢えて持ってきたり、
セクハラ寸前の言動でからかったりと、
いつも調子を狂わせてくるプロデューサーのことが、アタシはやはり苦手だった。
そんなプロデューサーは今――。
「面会時間はあと三十分ですよ、向井さん」
「ああ、看護婦さん。分かったよ」
「『看護師』ですよ、今の時代はね」
――病室のベッドで静かに眠っている。