なろう小説「俺が人間を裏切って魔王と契約したら速攻で魔王の国が滅んだ件」
なろう小説「俺が人間を裏切って魔王と契約したら速攻で魔王の国が滅んだ件」
一人の部屋で、ベッドに寝転がり、無駄に豪華な天蓋を眺めながら俺は何度目かのため息をついた。
vipのスレで「異世界転生w黙れドンッ!w」とか昨日まで騒いでいたニートの俺が事故って目が覚めたら異世界にいた。
本当に異世界転生なんてあるというのはびっくりしたがそこはまあ問題無い。
それから神様が謝罪云々でチート的能力がもらえた。
そこもまあ不満はない。
だが、異世界転生した俺に「勇者様!私達のために世界を救ってください!」みたいな展開になると思ったのに・・・
転生してすぐに城に呼ばれたと思ったら
「勇者様に特に用はありません。屋敷でしばらくゆっくりしていてください」だよふざけんなよあの大臣!
もちろん、もし世界が平和だというのならまだわかる。
しかし話を聞くと魔王軍が今まさに人間と戦っているって話。
なのに「もう優勢で我々だけで勝てるから余計なことはしてくれるな」ってんだぜ!
しかも、戦争の様子もろくに教えてもらえない。
確かにあてがわれた城の中の屋敷では、寝ていても三食飯は出てくるし、必要なものは使用人が持ってきてくれる。ニートにはありがたい待遇だ。
しかし異世界まできて、力を手に入れたのに無視に近い扱いというのは納得しない。
このままじゃ結局ニートじゃないか。
いっそもう逃げちまおうか。そうも思った。
でも、チート能力があるとはいえ、この国を敵に回して勝てるとも思わない。
というかニートの俺が一人で生活できるのか?できない気がする。
転生してから数週間。ここ数日はずっとそんなことを考えていた。
ただその日は特にイライラしていた。だから、魔が差したのかもしれない。
『退屈そうだな・・・?』
突然頭の上から聞こえた声に俺がはね起きるとそこには『怪物』がいた。
怪物、といっても見た目は大体12、3歳前後の少女だ。
しかし頭の左右から突き出た真っ黒な角と背中の大きな蝙蝠様の翼、そして禍々しいオーラー――としか言いようがない、見えないけどなぜか見えるのだ――がこいつがただの少女ではなく怪物であることを告げていた。
あ、あと局部と胸しか隠していない頭のおかしい格好もタダモノとは思えない・・・けどまあ、これはどうなんだろう、この世界の基準がわからないしなぁ・・・
『格好は大きなお世話だ』
俺の考えを読んだかのように怪物が答える。
『読めるかのように、ではなくて読んでおるのだ』
何だよ、勝手に読むんじゃねえよ。