モバP「お父さん、お話があります」紗枝父「ほな、聞きましょか」
モバP「お父さん、お話があります」紗枝父「ほな、聞きましょか」
2: ◆PL.V193blo 令和元年 05/06(月)16:08:43 ID:g7w
「遠いところから、ほんまようお越しくださいました」
着物をたおやかにひらめかせる貴婦人の労りを、彼は会釈と微笑みで頂戴した。
「うちの人、もう間もなく来はりますから、ちびっと待っとって下さいね」
和らかな雰囲気が、彼女の娘にそっくりで、母娘なのだな、と思う。
想像していたより、愛嬌のある女性だった。
しかし、踵の返し方、茶の出し方をひとつとっても、非常に洗練されていることが分かった。着物美人は撮影の現場で何度となく目にするが、そういう急ごしらえで作ったものとは違う、生粋の――――と言えばしっくりくるか。
生まれながらの京者とは、こういうものかと感じる。今の彼女の娘とは、それは異なる印象であった。
「……」
含んだ茶の熱さに心地よさを感じる。
じっくり話せ、という事か。
今日の話は、少し長くなりますよ、という事なのだろう。
――――話は、二週間ほど前に遡る。