【十年後合同】10度目に立ち上がったその時に【デレマス・南条】

【十年後合同】10度目に立ち上がったその時に【デレマス・南条】

2: ◆oZuontUvSM 2016/01/07(木) 03:12:25.79 ID:mApX9qsv0
冬の寒風が舞う街を、ミニバンで走り抜ける。
団体利用も想定して導入された社用車だが、今乗っているのは2人しかいなかった。
運転席に僕。そして、助手席にもう1人。

「無理言ってゴメン。でも、どうしても今日行きたいんだ」

僕の隣から、そんな釈明染みた声が聞こえる。
小さな頼み事でも気にせずにいられないのは、僕のよく知る彼女の-南条光という女性の性分だった。

「気にするなって。時間は余裕を持たせてるし、現場からも近い。
 でも何があるんだ?」

ハンドルを握ったまま、僕はそう聞いてみる。
今向かってるのは、カーナビに手入力された謎の座標。
一緒にある場所へ向かってほしい、と昨日の夜に乞われたのだ。
さっき目的地をセットした時に見えた画面から、本来の目的地と同じ茨城県内であることはわかったが、
細かい部分は隠されてしまった。

「着いたら話すよ。今は…まだ、ヒミツ」

おや、と思う。
プライベートでは隠し事をあまりしない光から、こういう言葉を聞くのは珍しい。
気にはなるが、無理に聞くのは無粋だろう。
ミラー越しに見える彼女が俯いて黙っているあたり、聞いても隠し通される気もするし。
それに、撮影後に内緒で僕も連れ回すのだから、その分はおあいこというもの。
…正直、今からもう怖くもあるのだが。

ジャケットの右ポケットに入れた小箱に、やたら重みを感じる。
もし受け入れてくれなかったら、と思うと怖いどころではない。
だからハンドルを手放さないよう、運転を続けながらこれまでのことを思い返した。

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