梓「しゃぼん玉、とんでいけ」

梓「しゃぼん玉、とんでいけ」

0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/02/13(日) 00:51:36.68ID:tPRHpcgB0

 午後四時の赤く染まりだした空にしゃぼん玉が浮かんでいる。
 ふらふらと、ふわふわと。この河川敷の上空、橋の向こうへとゆらゆら浮かぶ。
 三つ四つの大きな玉は空を虹色に透かして私と唯先輩を見下ろしていた。

 吹いているのは唯先輩だ。
 透き通るような白い指先でストローをつまみ、笛を吹くように玉を浮かべる。

唯「あずにゃん、見てて」

 薄膜の命にゆっくり、ゆっくりと息を吹き込む。
 真剣そうな表情も見入ってしまう。
 しゃぼん玉は膨らんでいく。唯先輩の吐息を詰め込んで。
 けれども、ある時突然ぱちっと消えてしまった。

唯「えへへ……あずにゃんも吹く?」

 困ったように笑った唯先輩が、シャボン液を差し出した。
 でも、思わずその腕から目を背けてしまう。
 なぜなら、袖から覗いた彼女の手首がもうずいぶん透けてしまっていたから。

続きを読む

続きを見る(外部サイト)