澪「ほたる」
澪「ほたる」
0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/06/20(月) 08:27:29.42ID:f3+VfM4Y0
――大人の階段を昇るだとか、坂を登るだとか。そういう表現がある。
邪推してほしくないのであえて言うと、純粋に『卒業』とか『就職』とかを考える歳になった、という意味だ。
いや――私に限って言えばその歳は、残念ながらもうだいぶ過ぎてしまったのだが。
ともあれ、そうして子供時代を駆け上がり、眼前に広がった景色。そこに居る、数多の先人。
その人たちの背中を見て……当時の私は、言葉を失ったのだ。
彼らは、人でありながら人ではなく。何かの足りない人間に見えて。
そんな彼らは私を呼ぶ、私に向かって手招きする。
そんな彼らと私の間には、深く、流れの速い川があるように思えた。
もちろん、そんなの気にしていられる状況じゃない。置いていかれるのは嫌だ。ならばこの川は渡らなくてはいけない。頭の
中ではちゃんとわかっているのに。
澪「……怖い…」
――私は、そこに足を踏み入れることが出来ず、今に至る。