池田千歳「あせびの香る雪の春~卒業を迎えて~」
池田千歳「あせびの香る雪の春~卒業を迎えて~」
0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 23:24:52.32ID:h5OqAkz60
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1月2日 曇り時々雪 神社境内
大晦日の晩から降り続ける雪は、境内の中にもうっすら積もっていた。
サク、サク、サク、サク。
足袋に包まれた2組の足が、しずしずと調子をあわせて歩みを進めていた。
「昨日は昼間も降っとったんよね。ええなぁ、ロマンティックな初詣」
片方は、藤色に金糸、たなびく雲、赤白黄色と色さまざまな花をちりばめた、
だがけばけばしさの無い振袖姿。
「そんないいものでもないわよ、もっと厳かな雰囲気がよかったんだけど」
もう片方は、黒地に薄桃色の川の流れ、赤にピンクの椿が舞い散る
落ち着き払った振袖姿。
いささか残念そうな息を漏らす綾乃の隣で、千歳はあいかわらずの穏やかな笑みを咲かせていた。