男「おーん」

男「おーん」

0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/10/03(月) 22:58:51.55ID:0eGCHM130

 火。火。火。燃え盛る炎の海。立ち込める煙幕。ゴウゴウと鈍く重い音をたて、
あたかも調理でもするかのように、形あるものは燃やし尽くされ焦げ屑へと姿を変えていく。
人類の文明の象徴ともいえるそれは、時に狂気を孕んだ災過と化し、問答無用に生命を奪っていく。

 -逃げなければ。

頭では分かっていも身体が動かない。どうやら倒れたタンスか何かの下敷きになっているようだ。
「参ったな。これじゃ脱出できないじゃないか」なんて余裕を持ってみても、
腰ほどまで浸かった地獄の沼から逃れることはできない。
煙幕はいっそう立ち込め、燃焼により室内の酸素は減少。もはや呼吸すらままならない。
ぜぇーぜぇーと息遣いが荒くなり、いよいよを持って意識が遠のき始める。
熱い熱い熱い熱い熱い熱い苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい・・・

 -ああそうだ、蒸し暑い夜は決まってこれだ。
幾度となく苛まされた悪夢の再演にため息を漏らしながら、男はのそりと起き上がる。
明け方の薄空はどんよりと沈んでいた。

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