キノの旅ss「奴隷の国」

キノの旅ss「奴隷の国」

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/11(月) 22:56:43.01 ID:lxvmXycz0
 草原の中の一本道を、旅荷物を満載した一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)が走っていた。

 運転手は若い人間だった。歳にして十代中頃。長い枯葉色のコートを太もものところで巻き付けている。

「次に行く国はねぇ、エルメス」

 運転手が言った。

「次に行く国は? キノ」

 エルメスと呼ばれたモトラドが、それに尋ねる。

「奴隷制度がある国らしいよ」

 キノと呼ばれた旅人が答えた。

「へぇ。でも旅人のキノには関係ないんじゃない?」

「そうともいえない。奴隷がいるってことは、国内に不満を抱えている人たちを一定数抱えているわけだから、反乱や革命に注意しなくってはいけない。それになにより、奴隷商人が横行していれば、自分の身も危ない」

「なるほど。そこはキノがバババーンちゅどーんだね」

「国の中だからね。派手にはできないよ」

 キノの視線の先、緑色の丘を越えた向こうに、灰色の線が、つまりは城壁が見えた。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1513000602

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