梓「シークレットラブ」

梓「シークレットラブ」

0002以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2010/12/24(金) 10:50:06.90ID:PEieF2ne0
まだ誰もいない朝日が差し込む部室は、ひんやりとしていてもう冬がすぐそこまで
来ていることを私に教えてくれていた。
私は一人じゃ広すぎるくらいの部室で、小さく息を吐いた。
白く染まった私の息が、冷えた空気に溶けていく。
時計の針の音が、妙に大きく聞こえた。

「十、九、八……」

あの人を待つ時間は、長い。
あの人はいつも、待ち合わせの時間を過ぎてから、いたずらな笑顔を浮かべながら
現れる。

「五、四、三……」

もう教室に戻ろうかと思ったら、まるで計った様に私の前に立っている。
そういうところ、ずるいと思う。

「二、一……」

ぜろ、と言う前に部室の扉が小さく軋みながら開いた。
「待ったか?」というその声は、私を気遣うというよりからかっているように
聞こえる。
私はそれに答える代わりに立ち上がった。

続きを読む

続きを見る(外部サイト)