マルシル「……楽器かしら、これ」
マルシル「……楽器かしら、これ」
チルチャックは警戒して近寄ろうとせず、ライオスとセンシは無遠慮にそれらをためつすがめつしている。
私は何となしに机の上に置かれた木製の、綺麗な形をした団扇のようなものを取り上げた。
チルチャック「楽器? こんな曲がりくねった形をしたものが?」
マルシル「私もよく分からないんだけど、何となくそんな感じするの」
センシ「ふむ。楽器か。確かに笛のように見えるものもある」
すぐそばで魔物の鳴き声のようなものが聞こえて飛びすさった。
チルチャック「……ライオスお前」
センシ「なるほど、笛だな」
ライオスが口に金属の蛇のようなものをくわえて子供のように顔をほころばせていた。
マルシル「脅かさないでよ!」
ライオス「いや、つい」
ついじゃないわよ。
ライオス「でもそうか。これが笛だとすると、この部屋にあるものは全部楽器なのか」
ライオスは手に持った笛を置いて、手近にあったアサガオの花に似た楽器を持ち上げた。
ライオス「意外に重い」
またもライオスがそれを口にくわえ、息を吸って吹き込んだ。
思わず耳を塞いでしまったけど、予想に反してアサガオから音は鳴らなかった。
ライオス「……これは壊れてるようだな」
チルチャック「……ちょっと貸してみろよ」
さっきまで楽器に手を触れようとしなかったチルチャックがライオスのそれに手を伸ばした。
チルチャック「む、結構重いな」
小さなチルチャックが持つと余計に大きく見える。
センシ「大丈夫か? 落としたりするんじゃないぞ」
センシが子供を心配する親のような素振りを見せた。
チルチャック「だからそんな歳じゃねえっての」
チルチャックがライオスと同じようにアサガオを構え、息を吹き込む。
すると先ほどライオスが鳴らした音によく似た、それでいて高く軽い音が鳴った。
ライオス「お」
チルチャック「ほら」
得意気にチルチャックがライオスにアサガオを返す。
ライオスがもう一度挑戦するも、やはり音は鳴らなかった。
ライオス「……難しい」
マルシル「わ、私にも貸して」
二人がやっているのを見ると私も挑戦してみたくなる。
ライオス「いや、もう少しだけ」
ライオスがアサガオを持って後ろを向く。
マルシル「いいじゃないのちょっとくらい」
ライオス「せめて音が出るまで」
マルシル「もう!」
ライオスは放っておいて別の楽器を試してみよう。
そう思ってさっき見たあの、綺麗な団扇みたいな楽器を探すと、それはいた。
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